絶対音感に関して、主に私の所属する合唱団のメイリングリストに投稿した私の意見のうち、自身の絶対音感について詳しく述べた文章をここに掲載します。他にも音程の科学、絶対音感の音の色、様々な人の意見集、絶対音感の幼児教育のページもご参考にどうぞ。
鳥居@絶対音感 です。
絶対音感のことについては、ホームページで書きたいと思っていたので、これを機会にいまメイルで文章にしてしまいましょう。かなり長くなりましたので、お時間のあるときにどうぞ。
私の持論によれば、絶対音感は後天的なものだと思いますが、ただし幼年期の取得が必須。5才ぐらいまでにピアノを習い、聴音をやってドとかレ、もしくは C とか D とかと音との対応をつける訓練をすれば(おそらく誰でも)取得できるようです。昨今では絶対音感をつけるための幼児教育まであるとか。7才を過ぎて取得できた人を私は知りません。おそらく本質的に無理なのでしょう。
絶対音感があると、救急車のトップラー効果は「シーソーシーソーからラファラファに」変わるように具体的に聞こえます。実際私は小学校中学年のときにそう言って親に質問をした記憶があります。
音が具体的に絶対音のカタカナとして聞こえて来るので、僕には高校の音楽の時間のときにやらされた「階名読み」というのはとてもできません。しかたないので、階名を楽譜に書いて、歌詞だと思って、頭の中にいやがおうにも浮かんでくる絶対音のカタカナはなんとか無視しながら歌った記憶があります。
音取りなんかは、ピアノを弾かなくても電車の中で楽譜を見ていると取れてしまうことが多かったので、そういう面では得しています。特に、プーランクのように、Fis の次に B (減五度)というような音飛びがあっても、前の音に関係なく絶対音として B を出すように覚えれば良かったので、他人の苦労を後目にさっさと音取りができてしまいました。
ついでにいうと、私の絶対音はTさんのように完璧なものではなく、Kyさんと同じく ちょっとばかし欠陥がありまして、どういうことかというと、フラットの曲に慣れていないので、フラットが増えてくるとシャープに聞こえてくる。たとえば、ヘ長調とか、変ロ長調くらいならいいのですが、フラットが5つもつくと(変ニ長調)、それはシャープ7つ(嬰ハ長調)に聞こえてしまう。おんなじことなのですが、記譜するとおたまじゃくしの位置がひとつずれてしまうので、つまり Des は「レ」の欄に書かれているのに頭では Cis 、つまり「ド」と聞こえてしまう。C ではなくて Cis なのは分かるけど、カタカナは1文字しか頭に浮かぶ余裕が無いので「ド」なのです。楽譜には「レ」と書いてあるのに頭には「ド」のカタカナが聞こえる。しょうがないので必要な所には楽譜に「ド#」とか「Cis」とか、「文字で」書き込んだりしたものです。
そんなだから、昔の定演曲なんかを調を変えて歌われると、とても一緒に歌えないばかりか、もやもやとしたストレスを感じてしまいます。カラオケがあまり好きじゃないのも、男性のボーカルの高い音が多くてバリトンの僕には歌いにくいし、かといって音を変えたくないしということもひとつの大きな原因になっています。
昔 高校生の時に、ある女性アイドルのファンだったのですが、うちのレコードプレーヤーが古くて、回転数が規格の 45 rpm より若干速かったんですね。それで本当の音階より半音高いのを聞きなれていたわけです。すると、あるとき歌のベストテンかなんかの歌番組に登場して歌っていた時、「あれ、調が半音低いじゃないか!」ってんで、なんとなく歌いにくそうにしているようにみえたことの責任は調性を間違えた放送局にある!と思っていたくらいです。後でそちらが正しい調だと知ってびっくり。
さあ、それからが大変ですよ。だってうちのレコードプレーヤーは使いものにならないんですから。仕方ないので、カセットテープにダビングすることにしました。ただし、ダビングのときだけ、テープレコーダーの、テープ送りスピードを決めているくるくる回る芯、あれ、ほんとに細いんですね。直径ほんの2、3ミリ。カセットの穴に入る軸じゃないんですよ、スピードを決めているのは。あれは単にテープがからまないように適当に巻き取っているだけ。テープを送っているのは、テープ自体に接触する細い金属棒なわけ。あそこにアルミホイルを薄ーく切って一巻くらい巻き付けます。すると直径が少し増すので、テープの速度が増した状態で録音されるのです。そうすれば、再生する時にアルミを抜けば、レコードより半音低く、つまり正しい高さになるというわけ。半音なんて、周波数にして(平均律の場合)2の12乗根、これはたったの6%なんですよ。アルミ箔1巻で変わっちゃうんです。
もちろん、こんな小細工程度では、音はもわんもわんと、金属棒の一回転ごとに少々高くなったり低くなったりして聞き苦しいのですが、私にとってはそれでも調が違うのに比べればまだ我慢が出来たのでした。
さらに困ったことには、テープレコーダー、あれって、メーカーによって、更には機種によっても速度が微妙に異なるんですね。例の金属棒の直径とか、回転速度とかが、たいした精度がないわけ。すると2つのレコーダーを比べるとひどい場合には両者で6%くらい、つまりまる半音ずれちゃってるんですよ。まったくこまったもんです。
で、最近はCDとか、DATとか、デジタル華盛りだから、私としては安心してCDを買えるのです。めでたしめでたし。
それにしても、NTTのホームページの君が夜の音声データ、あれ、なんとかならないの? 音の高さだってまるでめちゃくちゃなわけでしょ。外国人への日本文化紹介としてもよく利用されているページなのだから、ちゃんと警察音楽隊か、宮内庁雅楽とかの正式な演奏を載せるべきだと思うのですけど。前から投書しようと思っているんですけど、よくも何年間も問題にならなかったものだと不思議に思っています。
で、前置きが長くなりましたが、
Sさん>
私は「この楽譜、短三度あげて歌って欲しいんだけど」なんて言われると、もうパニックです。だって楽譜に書いてある音と違うんだもん。(;_;)音だけもらえば移調が簡単にできちゃう人がとてもうらやましい。。。。
全く同感です。
Kiさん>
ちなみに、その本によると、絶対音感を持っている人にアンケートした所、ハ長調は白、ト長調は青、ニ長調とホ長調は橙や黄色、イ長調は赤、ヘ長調は緑、と感じる人が、とても多かったそうです。
Sさん>
ハ長調はこれといってイメージがない。あ、だから白なのかしら。ト長調はきらきらしたガラスみたいな感じ。青だったら快晴の空の色かな。ニ長調やホ長調はあったかい感じ。イ長調は華やかな感じ。でも、ト長調みたいな硬質のイメージはないの。グラマラスなとでもいうか…。赤ってイメージは私はないけど。ヘ長調は素朴で牧歌的な雰囲気があるね。
いろんな曲を思い浮かべてみたのですが、それではそれぞれの曲自身のイメージが重なってしまったので、同一の曲で、「ちょうちょ」の歌を、ハ長調から初めてト、ニ、と5度ごとに変えていってその調が私に与える感覚を探ってみました。ただし、ピアノとかで弾いたのではなく、頭の中で、もしくは小声で口ずさんで、というやりかたです。
私のイメージはSさんのに近いですね。(絶対音感の音の色参照)
今回は長調だけ試しました。私の印象です。
音名 | 色のイメージ | 音色のイメージ |
ハ | 白 | ピアノ |
嬰ハ | 銀 | チューバ |
ニ | 黄色 or 水色 | 木琴 |
変ホ | 緑 | クラリネット |
ホ | 緑〜茶〜赤紫 | チェロ |
ヘ | 青 | ハプシコード |
嬰ヘ | 金色 | トランペット |
ト | 橙色 | ハープ |
変イ | 灰色〜ねずみ色 | コントラバス(低音)、ピッコロ(高音) |
イ | 紺色〜濃青紫 | バイオリン |
変ロ | 褐色〜茶色 | クラリネット |
ロ | ピンク〜マゼンタ | ビオラ |
必ずしもはっきり決められないものもありますが、でも例えばイ長調はやっぱりちょっと暗めの色、いや、原色というのが正しいか。とか、変ロ長調を青といわれると絶対違う!
とかいうのがあります。
ハ長調は間違いなく白でしょう。せいぜいベージュ。ニュートラルというか、単純というか、個性がないというか。
やはり、予想したように、五度ごとに考えて見ると近親調はなんらかの関連がありますね。嬰ヘからはじめると、金 → 銀 → 灰〜ねずみ → 緑 → 褐〜茶と、なんか繋がりがあるように見えます。それと同時に、隣り合った調では、ハ=白 で 嬰ハ=銀、ニ=薄い色 とか、こちらもなんか関係ありそうです。
色を一通り終わった後で、どうも、例えば嬰ヘ長調はきらきら金属音というイメージがあって、だから金色を思いついたのですが、それなら、調性を楽器の音色にイメージできないかと考えたので、それも上に載せてみました。ただし、楽器と音楽とは直接の関りがあるので、たとえば変ホと変ロがクラリネットなのは、クラが Es 管と B 管があることに相当引きずられています。
そんなところでしょうか。
どうお感じになりますか?
関連文書: 絶対音感、様々な人の意見集、音程の科学、絶対音感の音の色、絶対音感の幼児教育
書籍紹介: 「絶対音感」最相葉月著、小学館
リンク先: 東京大学白ばら会合唱団ホームページ
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