東大教養:駒場理系後期課程オープンラボ:シンポジウム「怖がらないための放射線の基礎知識」(鳥居寛之)


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書籍「放射線を科学的に理解する ― 基礎からわかる東大教養の講義」
鳥居寛之・小豆川勝見・渡辺雄一郎 著、中川恵一 執筆協力
丸善出版:2012年10月10日刊行
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東大教養:駒場理系後期課程オープンラボ

【宣伝ポスター.PDF (400 kB)】

シンポジウム「怖がらないための放射線の基礎知識」

鳥居 寛之(東京大学教養学部)

【資料チラシ.PDF (1.3 MB)】

講演スライドは こちら【スライドファイル.PDF (13 MB)】

配布資料(スライドの抜粋縮小コピー)は こちら【配布資料ファイル.PDF (7 MB)】

関連文書 「放射線の物理および生体への影響」はこちら

自主講義「放射線学」・主題科目テーマ講義「放射線を科学的に理解する」の ホームページはこちら

 原子力発電所の事故が連日トップニュースで報じられ、世界中が放射能汚染に対しヒステリックなまでに反応している現在、我々には放射線に対する正しい科学的リテラシーが求められています。一方で、放射線に関する学問は多分野にわたり、今回の一連の報道のなかでも、原子力工学・放射線生物学/医学・放射線防護学・食品衛生学・大気/海洋科学と様々な専門家が登場しました。今日は短い時間ですが、放射線に対する必要最小限の基礎知識について、お伝えします。

 放射線は目に見えないものだけに必要以上の不安と混乱を招いてしまいがちです。確かに、原爆やチェルノブイリ原発事故、東海村の核燃料加工会社JCOで起きた臨界事故のように、現場で大量被曝をしてしまった人の悲惨な状況のイメージがつきまといますが、周辺地域など低線量での被曝ではそうした確定的影響は現れません。今回の事故で一般公衆に対して問題となるのは、将来がんになるリスクが増えるかどいうかという確率的影響ですが、放射線量が少なければその分だけリスクも小さくなるので、合理的に可能な範囲で被曝を最小限に抑える努力が求められます。

 普段から我々は自然放射線に曝されていて、微量ながら地表からも空からも外部被曝を受けています。肺は大気中のラドンによって内部被曝を受けていますし、体内にも放射性物質のカリウムが食品から取り込まれて常に存在しています。ヒトを含む生物の細胞の遺伝情報を担うDNAは、たしかに放射線によって損傷を受けますが、生物にはDNAの傷を修復し細胞ががん化するのを防御するための機構が何重にも働いています。低線量の放射線によるヒトのがんへの影響についてはまだ分かっていないことも多いのですが、細菌や実験動物を使った生物学的研究、また人の被曝の疫学的調査などによってある程度のデータは揃っています。

 そうしたデータを今日は紹介していきますが、このシンポジウムを聞いて、皆さんが放射線を「正しく怖がる」ための一助として頂ければ幸いです。さらにこれを機会に、ご自分でいろいろ学んで頂けることを期待します。


 題目:「怖がらないための放射線の基礎知識」
 講師:鳥居 寛之(東京大学教養学部)
 対象:東京大学駒場理系後期課程オープンラボ来場者(大学生、高校生、一般)
 日時:2011年6月3日(金)16:30 から
 場所:東京大学駒場キャンパス(教養学部)16号館 119・129教室

理解目標:


関連書籍  ★ 書籍「放射線を科学的に理解する ― 基礎からわかる東大教養の講義」
        (鳥居寛之・小豆川勝見・渡辺雄一郎 著、中川恵一 執筆協力) 丸善出版:2012年10月10日刊行!

関連文書  ★ 私を含む物理部会教員有志による一般向け文書 「放射線の物理および生体への影響」
        および その趣旨説明と文書「原子炉の物理」

関連講演会 ★ 教員など向けに開催した 講演・討論会「放射線の物質および生体への作用」(終了済) (スライド PDF あり)

関連講義  ★ 2011年度夏学期:自主講義「放射線学」(鳥居寛之)

関連講義  ★ 2011年度冬学期:主題科目テーマ講義「放射線を科学的に理解する」
        (鳥居寛之・小豆川勝見・渡邊雄一郎ほか)

関連講義  ★ 2012年度冬学期:主題科目テーマ講義「放射線を科学的に理解する」
        (鳥居寛之・小豆川勝見・渡邊雄一郎ほか)

関連講義  ★ 東大教養:鳥居の放射線講義関連トップページに行く


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電子メイル torii-radio@radphys4.c.u-tokyo.ac.jp

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Last modified on 2012/10/20