本場オペラの観劇の服装

 ヨーロッパに行って本場でオペラを見るとき、どんな格好をしていけばいいのか、皆さんお悩みのようで、私のホームページをご覧になった方からご質問のメイルを頂いたりしたので、ここにまとめておきましょう。


 ヴェローナの観劇記、楽しく読ませていただきました。ところで、私も今年の夏にヴェローナに行ってみようかなあと考えているのですが、野外オペラを観るときには、皆さん、どのような服装で来場されているのでしょうか?やっぱり少なくともスーツっていう感じですか?


 いえ、からっとしていて過ごし易いとはいえ、暑い夏のイタリアのことですから、まともなスーツではちょっと辛いでしょう。野外ですので、皆さんかなりラフな格好で、ジーパンにTシャツでも構わないくらいですが、さすがに少しはおしゃれっ気があったほうが自分の気分も高まることでしょう。私はだいたい半袖のYシャツに薄手の黒のズボン、ネクタイで見に行きますが、周囲はもっと普段着です。私の好きな階段席下部では、スラックスのズボンをはいていれば平均的な服装だといえると思います。

 平土間の前の方の席の人達はキメている夫婦連れなども多いのですが、階段上部の自由席などは普段はオペラなぞ無縁そうに見えるアメリカの学生なんかがテキトウな格好で聞いているので、まったく心配は要りません。初日(プレミエ)などは正装する人も多いようですが、一般的には野外なのと、観客の大多数が観光客(もちろんオペラファンが多いのだが)なので他の劇場に比べ服装はずっとラフだと思って間違いありません。

 ただし、夏とは言え、夕暮れ時に始まって(開演時間は日の長さに合わせて初夏から初秋にかけて少しずつずれている)第1幕途中で日没後は深夜まで、冷え込む事もあるので、ジャケットなど羽織るものの準備はなさったほうがいいでしょう。

 なお、もうご覧になったとは思いますが、私のホームページの中に写真がありますので、それから想像なさってみてください。入場の写真はプレミエの日、アリーナ内部の写真(服装までは見分けにくいかもしれないが)は普通の演目の日のものです。

 ところでこれと正反対なのが、ザルツブルグの祝祭劇場で開かれる夏の音楽祭で、こちらはみんなが正装しています。男性はまずまちがいなく礼服(タキシード)に蝶ネクタイ、女性は出来る限りの華やかなおしゃれをして、男女同伴で行くようです。男連れで普通の仕事用のスーツにネクタイをしていた日本人が恥ずかしく思えたくらいですから。とはいえ、もし現地で観劇する機会があれば、普通のスーツでも臆せず聴きに行きましょう。私自身は現地の百貨店で前日に慌てて調達した(一番安い)黒のズボンに(店の人には絶対に色は黒だと言われた)白と黒の細かいチェックのジャケットで間に合わせ、学生だったのでそれでよしとしましたが。
 幕間の休憩時間(これが20分から30分くらいある)に、豪華なロビーで高校生くらいの娘さんなどを知人に紹介するマダムの姿などがあったりと、ヨーロッパの劇場の、社交場としての一面を垣間見た体験でした。

 普段のシーズン中(秋〜初夏)の一般的な劇場(パリのガルニエ、ミラノスカラ座、ミュンヘン国立劇場などなど)では正装度はその間くらいで、もちろん文化圏や劇場によってかなり違っているのですが、スーツにネクタイ程度が無難といえるでしょう。

ご参考になりましたら。



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