映画「ザ・インターネット」の感想

96年3月のメイルより

Aさん> 「売る」と言えば公開中の「ザ・インターネット」という映画。嫌ですねぇ。
Bさん> 当社でインターネットサービスを一応担当している私としてはむちゃくちゃ嫌です。TV見てると自分の仕事の名前を連呼されるのって、本気で嫌です。ザ、なんてつけられるともっと嫌です。
Cさん> 映画と言えば、1月の終り頃にインターネット関係の映画が公開されましたが(まだやっているのかな?)あれっておもしろいのですかね。


 1月下旬に飛行機の中で見ました。英語のタイトルは "The Net" でしたが、まさに the Internet を使ったコンピュータ社会を描いています。("the" が問題になっていましたが、定冠詞はつけるのが普通のようです。もちろん"ザ"ではなくて、"ジ"と発音しますが。)

 これは本当におもしろい映画でした。まだ公開されているのであればお奨めです。

 主人公の若い女性アンジェラは、ソフト会社に在宅勤務するコンピュータマニア。ある日、バグ取りを依頼されて同僚から送られてきたフロッピーが元で、ある事件に巻き込まれていく。すなわち何者かによって、あらゆるコンピュータ上から彼女は抹殺され、犯罪歴のついたルースという架空の女性として登録されてしまう。身分を証明する書類も、本人を証明してくれる知人や親戚もないなかで、犯罪者として警察に追われながら、彼女は必死になってインターネットにアクセスし、背後にうごめく謎の交信者と格闘する。

 あらゆるものがオンライン化されていく今の世の中で、ひょっとしてこんなことが起きたら....個人のデータも、住民登録も、銀行の預金も、病院のカルテも....それこそコンピュータを使って殺人すら可能な状況で、自分は自分であることをどうやって証明できるだろうかと考えると、これは決して架空の映画だけの問題ではないかも知れません。このメールを入力しながら、ちょっと背筋が寒くなります。

Cさん>
 最近何かといえばインターネットですね。そういえばまた附属中ねたなんですが、去年から教室に1台ずつ(だったかな)コンピュータが置 かれて、なんだかホームページで情報を発信したりしているそうです。私が一昨年に教育実習に行った時にはなかったです。ちなみにそのさらに前の年に行った時は、古い小さいサイズのマック(詳しくは知りません)で、自分で描いたファイルをとりこんでロールプレイングゲームもどきのものをつくっていました。(ただ画像を1枚ずつかえていくといったものですが)
 おそらくこの調子でいくと、子供の方がコンピュータに詳しくておじさんとかはとりのこされるという時代がくるのも近いかも知れない。(もう既にその傾向が。。)

 まさにそうです。サラリーマンのおじさん達がコンピュータコースで手をふるわせながらキーボードを触っているのに対し、幼稚園で4歳児の一群の中にコンピュータを1台置いておいたら、めいめい思い思いに触りまくって、数分としないうちにある子がマウスの動かし方や、どこそこをクリックすると次の画面に行けるとかいった使い方を発見し、みるみるうちにマスターしてしまったという実験を NHK でやっていました。

 ヨーロッパの人はジョークが好きで、研究所内にもドアとか壁とかいろんなところに気の利いた言葉や漫画が貼ってあるのですが、そのなかに

On the Internet, nobody knows you're a dog!

とあって、ワンちゃんがキーボードの前に座って、もう一匹の犬に説明している絵が描いてありました。

#うっかりしていると犬にまで先を越されるかも知れない。


Dくん> しかし、鳥居さんはスイスに行くとアドレスとかどうなってしまうんでし ょう。メーリングリストは?コンピューターに疎い僕には見当もつきません。

 個人メールで上の質問を受けました。簡単に説明しましょう。東大のアドレスはそのままです。また、インターネットをつかって telnet などの通信ソフトにより、こちらから東京のマシンにログインすることができるので、たまったメールを読むことができます。インターネット回線が遅いときにはVAXの回線を使うこともありますが、こちらは3月いっぱいでヨーロッパとアメリカの間の回線が停止されてしまうので、4月以降メールを読む度に遅い回線に悩まされそう。(VAXは死にゆくアーキテクチャ。unixには勝てなかった。悲しい哉。)

 こちらの研究所のコンピュータ(なにせ大きな研究所だから1000台単位のコンピュータが Ethernet などで繋がっている)でメールを受けることもできますが、日本語の問題などがあるので仕事上の英文メール以外は東京で受けるようにしています。

 では。



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