沖縄語について

99年6月執筆、2001年7月加筆訂正

 勿論、日本語沖縄方言といっても良かろうが、本土(この用語はあまり良くないが)の言葉との大きな相違を考えるとこう言った方がいいと思う。そもそも馴染みのない人が(地元の村の年配の人の話を)聞いてもまるで分からないし、母音体系も原則として3つ。とりいは本式に言えば「とぅりい」となってしまうのだろうか。こんにちはが「チュー、ウナガビル」でありがとうが「ニフェーデービル」とかだったように思う。でも暑いが「アチサン」とか、優しいが「チムジュラサン」でそのチムは心[しん]から来ている(ちなみに中国語は知らないが韓国語では心は[チム jim]と読むのだから興味深い)とか、気づかないけれどよくよく見ると日本語であることを納得する(買って来た沖縄方言の軽い辞書っぽい本をめくればもっと似ている例がたくさん載っている)。

# すみません、上の文章には誤りがありました。チムジュラサンのチムは肝[きも]の沖縄風発音で、意味は確かに気持ちとか心とかを表す重要な言葉で、沖縄はチムの文化だとまで言われるそうですが、日本語の心[こころ]に直接対応する単語はククルというそうです。また、韓国語で心は[シム shim]と読み、こちらも勘違いしていました。ちなみに、ジュラサンの部分、「チュラサン」は「清らさあり」が転じたもので、きれいとか美しいとかいう意味です。私のお気に入り&お薦めのNHK朝の連ドラのタイトルにもなっていますね。(2001年7月)

 日本語本土方言群と沖縄方言は言語学的に 1700 年前に分化したのだそう。フランス語とスペイン語などは確か 1400年前だから、それよりも違いが大きいことになる。まして仏語と西語との間に挾まれて言語的にもそれらの中間の特徴を持つバルセロナ周辺のカタルーニャ語(Catalunya 語で Catala と言う) が「方言」でなく「語」の名称を与えられているのであるから(まあ、彼らはオリンピックもしたし、自治政府もあるし、独立の機運も強いからという側面も強いが)、鹿児島は鹿児島弁とか鹿児島方言でよいとしても、沖縄は沖縄語とか琉球語とか呼んでしかるべきだと思うのである。


関連文書: 言語か方言か鹿児島弁

書籍紹介: 以下は沖縄以外では入手が難しいかも知れないが、
     「沖縄おもしろ方言事典」沖縄雑学倶楽部編、創光出版
     「マンガから学ぶ沖縄語(うちなーぐち)」玉城雅巳著、南風社
     伝統文化の真髄「美しい沖縄の方言(ことば)」中松竹雄・船津好明、技興社(ただし絶版)



鳥居のことばの館に戻る
鳥居のホームページに戻る