ジュネーヴ

 ジュネーヴといえば国際問題のあるたびにテレビでもよく報道され、特派員の中継があったりするので、知らない人はいないであろう。国際的によく知られた街で、それもそのはず、国際連合(国連UN(ONU))ヨーロッパ本部(もとの国際連盟本部)をはじめ、世界保健機構WHO (OMS)、国際労働機関ILO(BIT)、世界貿易機関WTO(OMC)、国際連合児童基金UNICEF、国際赤十字IRC(CICR)など数多くの国際機関が存在する(括弧内はフランス語略称)。また、高エネルギー物理学の分野では有名なCERN(セルン)研究所も実はここにある。そんなジュネーヴのイメージ通り、確かにパリやフランクフルトからジュネーヴ行きの飛行機の中では大半がネクタイを締めた外交官やビジネスマンであり、ビジネスクラスが座席の半分以上を占めていたりする。では、有名なだけにさぞかし大きな街をイメージする人も多いのだろうが、実は人口はたったの16万、郊外をあわせても30万に過ぎない。アジアのように中央集権と違って、各地の都市に人口が分散しているヨーロッパでは、それでもやはり都会には違いないのだが、それでも小さな街に多くの国際機関関係者が住み、働いているわけだから、実に人口の6割が外国人という、外国人住民の受け入れに厳しいスイスでは異例の都市となっている。

 周囲をジュラ山脈・サレーヴ山に囲まれ、レマン湖をたたえ、遠く巨峰モンブラン山を望める風光明媚なこの街には世界中の金持ちが集まり、アラブの石油豪族が豪華ホテルに滞在し(夏になるとイスラム系の人の顔もよく見られる)、また欧州や中東国々の貴族・王家のご子息ご令嬢などが留学していたりもするらしい。そして彼らの莫大な財産は市内にたくさんあるプライベートバンク(私的銀行)に預けられているわけで、スイスの金融業が盛んなのは有名な(悪名高い?)ところ。私などはいくらスイスの銀行に口座を持っているとはいっても、一般大衆の UBS (Union Bank Suisse) ですが。

 スイスと言えば時計で有名だが、なかでもジュネーヴがその拠点。時計産業はジュラ山脈の小さな工場から始まり、今でもジュラの谷あいの町などで生産され、ロレックス、オメガなど世界の時計ブランドの本社が点在している。当然ジュネーヴ市街には時計店・宝石店が軒を連ね、ショーウィンドウには数百万円の時計や大きな宝石がずらずらと飾られている。う〜む、手が出ないけど。そんなわけで、ジュネーヴの物価もとても高い。東京よりも高い、と思っていたのだけれど、昨今のユーロ安に連動してスイスフランも今年2000年は下落しているので、以前のように1スイスフラン(CHF)=96円(JPY)などという時代に比べ、1 CHF = 60 JPY 程度だとぐっと暮らしやすい。(その後レートがフラン高に上がって2002年現在 1 CHF = 80 JPY。)


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