物理学者のオタッキーな歌

(コンピュータ用語が話題になったとあるメイリングリストで)

「reboot って何? boot を辞書でひいても、履物しか出てないんだけど」
げげげbootって、辞書に載ってないんですね。なんだか、defaultと違って、由来すらよくわかんないですね。

知り合いのコンピューターおたくの院生に聞いてみたところ、boot はブーツで蹴る、という意味なのだそうです。コンピューターがおかしくなったら、蹴って叩き直す、という乱暴な言葉ですねえ。

プログラミングの世界では、プログラム自身や関数(プログラムの一部)を「このひと(関数)が悪さをしている」なんて擬人化するやからもおり、そういった点からすると、まさに殺「人」が日常茶飯事。英語でも同様に「this guy」なんて擬人化していますね。

私の出身の研究室では(先生がそう言うから)素粒子などをみんな擬人化してました。「この人が消滅するとパイオンが沢山生まれて、彼らは光速で検出器に飛び込む。で、その人達にとっては時間が引き延ばされてると感じるから..」ってな具合です。

# ううむ、こわい世界だ。

そうそう、昨日若い院生がここCERN研究所の一般向け常設展示場の入口で買って来た音楽CD、"Les Horribles Cernettes"(イカれたCERN娘、とでも訳すか?)は、4人の女性が歌い、曲はポップス系なのですが、素粒子物理屋のオタッキーな歌詞で、笑いつつも、ちょっとこわくなってきました。でも、みんなラブソングに読める歌詞になっているところは偉い。ちなみに、頭文字のLHCはCERN研究所が総力を挙げて建設中の粒子加速器 "Large Hadron Collider" のことなのです。

分かる人にしか分からないでしょうけど、「液体窒素」の歌なんて、歌詞に化学反応式や数式なんかでてきます。

あなたは私のことを毎日1時間当たり3600秒愛してくれると言ったわ。
それはミリ秒にすれば 43,200 ×10の3乗、
その愛を時間の無限大まで積分したら、ナノ秒単位で
=ルート2兆6千7百....

"Strong Interaction"「強い相互作用」の歌はなかなか素晴らしい。

You QUARK me UP,
You QUARK me DOWN,
You QUARK me TOP,
You QUARK me DOWN,
   (Yeah, yeah, I feel your CHARM,)
   (TAU, TAU, I feel so STRANGE,)
   .....

You SPIN me 'round 'round 'round 'round yeah

I feel your ATTRACTION, It's a STRONG INTERACTION.

だって。あえて大文字で書いたところがキーワードです。他にも "Antiworld"「反世界」とか "Surfing On The Web"「WWWでサーフして」とかもあります。(CERNはWWW発祥の地。)

分からない方はすみません。私の拙文素粒子入門講座反陽子ヘリウム原子CERN 研究所をご参照下されば、意味が分かると思います。
CDについてのWWWは

http://sgvenus.cern.ch/musiclub/cernettes/lhc.html

にあります。全ての歌詞のみならず、音楽データまで手に入る。

ううむ、やっぱりオタッキーだ。こわくなってきた。

ところで、私の友人の大学院生が作ったオリジナルの「物理の歌」が彼のホームページに歌声付きで載っていますので、よろしければそちらもどうぞ。

http://radphys4.c.u-tokyo.ac.jp/~ito/

にあります。


関連文書: CERN 研究所素粒子入門講座反陽子ヘリウム原子反水素原子



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